前回は、線種設定の基本を学習しました。
「絶対線種尺度1.0」という言葉を定義して基本の線種尺度を理解しました。
このことを念頭におきながら、今回から各種よくある不具合(ほんとは不具合ではありませんが・・・)がなぜ起こるか、どうやって対処するかを考えていきます。
点線にしたのに、点線にならないんだけど?
モデル空間で作図作業をしています。個別の線は、オブジェクトプロパティ管理の線種から選べました。点線の凡例が出ている「DASHED」を選べました。
ああ、簡単だな、と思った矢先に「?」となります。「点線になってないじゃん!」となるのです。
はじめてAutoCADで点線を扱うユーザーさんだったらソフトのバグと思うかもしれません。
ある程度「線種尺度」のことを知っているユーザーさんだったら、「キー」と頭掻きむしりたくなります。
急ぎの図面なのに、壁にぶつかった時のイライラ感は筆者も共感できるところです。
まずはどうしてこのようなことが起こるかを解明しておきましょう。
画像は、絶対線種尺度1.0の状態です。点線「DASHED」を選んでいるのに、点線表示されません。この時点で「イラッ」とくる方も少なくないはずです。

線種尺度が小さすぎて画面に表示できないパターン
新規で図面を作成しはじめた状態で線種を点線「DASHED」を選んだ状態は、前回定義した「絶対線種尺度1.0」になっています。
あらゆる線種尺度の基本と考えていいのですが、これが曲者なのです。
例で書いている線の長さは、2000です。それに対して線種尺度は1.0になっています。
この線をめっちゃ拡大した画像が下のGIFです。
むちゃくちゃ拡大してはじめて点線が表示されます。
そうです。書いている線に比べて線種尺度が小さすぎるのです。点線になっているのですが、細かすぎて連続した線にしか見えないのです。
そのため、画面の表示はおろか、紙に印刷しても連続した線になってしまうというメカニズムです。

最初にブチ当たるトラブルとしては、このパターンが一番多いと思われます。
目次に戻る←←←線種尺度が大きすぎて画面に表示できないパターン
今度は、逆のパターンを見てみます。
長さ5の線を書いてみました。
点線を選んでみたものの、表示されません。なんとなく、線種尺度が関係するんだろうな、と思って適当にいじってみて、尺度10にしてみましたが相変わらず表示されません。

今度は、線を伸ばしてみました。そのときの画像が下のGIFです。
伸ばすと点線になりました。
そうです。書いている線に対して線種尺度が大きすぎるのです。書いた線が短すぎて点線が表現できないのです。

そのため、画面の表示はおろか、紙に印刷しても連続した線になってしまうというメカニズムです。
目次に戻る←←←図面尺度と同じ線種尺度になることもあればならないこともある
メカニズムはわかったけど、じゃあどうするの?という問題になります。
我々は点線を表現して出力しなければ仕事にならないのです。
では、図面尺度と同じ線種尺度にすればよいのでしょうか?
たとえば、1/100図面を想定したら、線種尺度100にすれば解決するのか、ということです。
答えは、だいたいは上手くいく。しかし上手くいかないときもある、です。
下の画像は、A1サイズ、1/100で出力した図面です。点線「DASHED」を線種尺度を数種類変えて出力しました。全部点線です。
線種尺度は、「絶対線種尺度」です。

絶対線種尺度100を見てください。点線として見えています。
絶対線種尺度200くらいの尺度感でも良さそうです。
この例では、絶対線種尺度と図面尺度を合わせれば点線らしく見えました。
しかし、他社(者)から受領したAutoCADの図面を編集することが主な業務になる方がほとんどだと思います。
そういう方の場合、このようにすんなり上手くいかないケースにぶちあたることがほとんどではないかと思います。
適切な点線にするためにはもう少し研究が必要なようです。
では、次回から線種尺度をいかに設定するか、について話を進めていきたいと思います。
線種尺度は、単に線種尺度1.0の見え方を尺度倍した「見え方」にすぎません。ですので、線によっては思うような見え方にならないこともあります。