【土木数量計算】数式ロジック崩れのワナ~Excelで土量計算 注意すべき事

Excelを使用して作成する土木数量計算書のうち、平均断面法による土量計算書で発生するミスについて取り扱います。

筆者も何度も何度もこのミスで痛い目にあっています。

注意喚起、対策を含めて研究していきたいと思います。

Excelの便利さの影に潜む「落とし穴」に注意する

土木建築の業界において、施工管理、設計、積算の分野を問わず「土量計算書」は誰しも扱う基本的な事項です。

筆者は、自ら土量計算を受注者として作成することもあれば、発注者側としてチェックすることもあります。

ほとんどの場合(実感として100%)「Excel」を使って作成されています。筆者が作成するときも「Excel」を使います。

Excelを使用すると、楽に作成できます。ですが、楽に作成できてしまう分、「落とし穴」とも言うべきミスが高確率で発生します

成果物としてあがってきた計算書をチェックすると、4割くらいは今回紹介する基本的なミスをしています。

筆者は、発注者に提出したあとに気が付き、肝を冷やしたことが何度もあります。

同じような思いをしたことがある人がほとんどではないでしょうか。

最初からこのようなミスが発生している前提で作成すれば、予防できます。

発生するメカニズムは単純です。ですので、むしろ予防体制について組織でルールを作るなどしておくのが重要と思います

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この記事をぜひ読んでほしい人

土木数量計算初心者の人はもちろん、チェックする側の人にも読んでいただきたいと思います。

  • 土木数量計算を始めて作成する人
  • 単純ミスをできるだけ減らしたい人
  • 数量計算書をチェックする立場の人
  • 土木の業界に入ろうとしている人
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平均断面計算書における数式崩れとは

Excelで平均断面法を利用して面積や体積を出すのはとても便利です。

基本的には既存の書式を改修して実施することがほとんどですので、距離とCAD計測した断面積をポンポンと入れていけば目的の数量が算出できます。

副断面(行)を追加したことで起こる重大ミス

あるお仕事で筆者は、土量計算しましたとします。

この表は大丈夫そうです。チェックして数字・数式の間違いはありませんので、提出したとします。

余裕だな、なんて鼻歌交じりでメールで送ったのです。

提出したExcelシートと平均断面法概要

数日後、発注者からNo.4とNo.5の中間に「副断面」を追加してくれ、と指示がきたので修正作業をしましたが、ここからが問題なのです。

※「副断面」の説明はいたしません。また「副断面」の追加自体は間違いではないとします。

他の仕事に追われたいた筆者は、その仕事の作業を止めて、「副断面」の追加作業をして再び発注者にメールしたのが下の画像です。

追加修正してできあがったExcelシート

悔しいですが、ここで重大なミスがいとも簡単に発生してしまいました。

できたと思ったExcelに重大なミスが

パッと見ただけではほとんどの人は気が付かないことでしょう。こんな無機質な表ですから無理もありません。

ほんとうはこうなるはずだった・・・

二次災害が一番恐ろしい

一番恐ろしいのは、ミスが修正されずにすり抜けたときです。

ほとんどの土量計算では同じ断面を使用して複数の計算をするため、シートのコピーをして使用します。

コピー元のシートが間違ったままだとしたら、間違いが複製され続けます

気が付かず、断面積だけを入れ替え処理だけした場合、残念ですが全ての項目で誤った数量を拾ってしまうことになります。

シートを複製しましたが、同じシート内にコピーペーストした場合ももちろん誤ったものがコピーされます。

コピーした後に誤りに気がついても元のシートだけを修正してもダメです。全ての複製先の修正が必要となります。

まさに二次災害です!
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ミスはなぜ起きた?

行を増やしたことによって、上の行と下の行を平均するという数式が崩れてしまっています。

わかり易いように「崩れた」と書きました。

ですが、実際には崩れてはいません。問題となる「E10」の数式が崩れなかったから引き起こされたミスです。

列全体が、上と下のセルを足して半分にする、というロジックが「E10」だけ崩れてしまったのです

Excelがそこまで面倒をみてくれるわけではない!ということを認識していていても起こってしまいました。

人為的なミスだと言わざるを得ないでしょう。

この例では、本来、359.0(m3)になるべきでした。誤った結果は427.3(m3)ですので、68.3(m3)多く土量が算出されてしまいます。

数億円程度の請負工事なら取るに足りない数量ですが、数百万円規模の工事であれば比率的には甚大なミスとなります。

簡単に計算できてしまうゆえに起きるミスの典型だと思います。

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いかにしてこのミスを予防するか

このミスを完全に防ぐことは簡単なようで難しいと思います。

簡単なことほどうっかりミスというものがつきものだからです。

いくつか対策を考えていきたいと思います。

全自動ソフトを使用する

手っ取り早い方法は、Excelに限らず土量計算専用ソフトを使うことです。

測線と断面積を入れるだけで前項でやったような表を自動で作ってくれるソフトで作成すればよいのです。

筆者は使ったことがありませんが、WEBで検索するといくつか出てきます。

これだと、入力ミスさえ防ぐことができれば間違いはなくなります。

ただし、高価な買い物になりますし、受発注者間で同じソフトを共有しないと変更設計に対応できない、などの問題があります。

Excelでもマクロ(VBA)などを使うパターンがありますが、側線の表現形式や書式などが変わると対応できない場合もあります。

チェック体制を確立する

現状Excelでの作成ということを想定すると、チェック体制を充実させるほかなさそうです。

仮に全自動やマクロ(VBA)などで自動計算で作成したとしてもノーチェックは避けたほうがよいでしょう。

いくつも数字を入力しなければならない数量計算書では間違いが絶対にある、と思って作業したほうがよいでしょう

どんなに細心の注意を払うことができる人でもノーミスということがない世界なのです。

以降では、チェックについて考えていきます。

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どのようにチェックしていけばよいか?

今回の例でのチェック例をいくつか思いついたものや、筆者が行っている方法を書いておきます。

  • 一つ一つ数字を追っていく(しらみつぶし的に)
  • 修正するたびに一つ一つ最初からチェックをやり直す
  • 紙に出力して手計算(電卓)で計算する
  • 他の人にチェックしてもらう

どれも、超基本的で古典的なチェック方法です。筆者が行っている、というよりもほとんどの人が上のような方法でチェックしているはずです。

これでもミスが起こってしまうから怖いのです

修正する前にチェック済みだからいいや!、時間がないからとりあえず提出しちゃおう!、と言ったような悪魔の囁き(ささやき)がほとんどの間違いを犯していると言っても過言ではありません。

チェックすることが一番大事な作業かも・・・

とはいえ、時間は限られています。発注者から急かされることもあるでしょう。

少しでもチェックを効率的に行う方法を考えていきましょう。

Excelからの警告に耳と目を傾ける

実は、「副断面」を追加修正した時点でExcelが「シグナル」を出していました

数式のロジック崩れをExcelは正してはくれませんが、警告をしてくれていたのです

Excelには数式が崩れた時にセル左上に三角の緑のマークが付きます。

数式に問題がない場合に付く場合も多いのですが、今回の例である平均断面積計算書の類いでこのマークが付くということは100%間違いであると思ってよいでしょう。

実はExcelがシグナルを発していた
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ルールで縛る

今回の例では、E列F列に数式が入っています。

一行挿入したことによって数式が崩れたのですから、行の挿入をしなければよいのかもしれません。

手打ち(手入力)する範囲をコピーして下の行に貼り付ければ間違いは防ぐことができます。

作業するときに自分なりにこういうルールを作るのも一つの手ではあります。

ただし、この場合、手順的は一行挿入する方法のほうが手っ取り早いので、ついついルール破りをしてしまうかもしれません。

こういう時にミスが発生するので一度決めたらルールは徹底したいところです。

自分なりにExcelの操作ルールを作る

しらみつぶしチェックのちょっといい方法 「F2」「Esc」キーの多用

一番効果的なのは、しらみつぶしでチェックすることだと書きました。

ものすごく時間がかかる作業です。作成するよりもむしろ根気がいる作業かも知れませんが現状最善の策でしょう。

少し、視点を変えて、素早くチェックしていく方法をご紹介します。

ご紹介するというほどでもないくらい一般的な操作かもしれません。

チェックする数式をダブルクリックすると入力状態になり、参照されているセルに色がついた状態になります。この状態で数式が合っていれば次のセルへ移動して再びダブルクリックしてチェック・・・という手順になると思います。

この一連の操作をキーボードだけでやっていくことができます。マウス操作で行うより気安め程度ですが早くチェックしていくことができます。

少しだけど積み上げるとものすごい時間の節約になります
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今回のまとめ

今回は、一つの例をとりあげましたが、いかにExcelが間違いやすいかがわかっていただけたと思います。

工事の規模が大きくなると、取り返しのつかない数量の誤りになってしまいます。

間違えることを前提にすべきかもしれません。

便利な分、気をつけなければならないポイントがいくつもあるのです。

いかにチェックが大切かがわかっていただけると思います。

もしかすると作成するよりもむしろチェックする人のほうが大変かもしれません。作成した本人には合っているというバイアスがかかっているのですからなかなか発見が難しいのです

今回の例で言えば、手入力している項目も多数あります。特に区間距離も手入力ですので、うっかり距離を修正し忘れることもあります。

数量計算書にはいろんなワナが潜んでいる

数量計算書には間違える要素がウンザリするほどあるのです。

できることであれば、マクロやVBAを用いてチェックできるシステムを取り入れることもおすすめします。

人間ですので必ずミスは起きます。いろんな視点からミスをできるだけ防いでいくことが重要と思われます。

ご意見ご感想お待ちしています。