こんにちは!荒川編集室荒川です!
AutoCADの絶対線種尺度の一つの重大な要素であるグローバル線種尺度のお話をしていきます。
なぜ、AutoCAD公式用語にない、「絶対線種尺度」などと筆者(荒川)が勝手にネーミングしたかも少しはわかっていただけるような説明にしていこうと思います。
線種尺度って一括り(ひとくくり)で言うけれど・・・
資料図面として1/1000の図面を用意しました。まずはご覧ください。

「図面番号_01」を見て、「?」と感じた方はかなり鋭いです。
どこがいままでのお話と違っているかと言うと、「線種尺度1.0」がかなりくっきり点線として認識できます。
1/1000スケールの図面なので、点線間の間の細かい「線種尺度1.0」は表せないんじゃね?というのがいままでのお話でした。
線種尺度が図面尺度(この場合1/1000)と同じ1000程度であれば、点線にとして見える、というお話もしました。
そこで、同じ図面ですが、ある操作をした「図面番号_02」を示します。

この図面なら、今までの説明と整合がとれていると思います。
線種尺度1では点線として見えていませんし、図面尺度と同じ尺度1000ですと、点線として見えてます。
しかし、さきほどの「図面番号_01」の線種尺度は、誤りではありません。
図面番号_01と図面番号02とで、同じ線種尺度なのに見え方が違うのです。
どちらもオブジェクトプロパティ管理で確認すると、確かに線種尺度に間違いないことが確認できます。

なぜ見え方が異なるかと言うと、「図面番号_01」は「グローバル線種尺度」が設定してあるからです。
グローバル線種尺度を設定することによって、同じ線種尺度であっても違う見え方になるのです。
オブジェクトプロパティー管理の「線種尺度」だけが線種尺度ではないのです。グローバル線種尺度を設定した途端に、いままでのオブジェクトプロパティ管理の「線種尺度」として話ができなくなります。
ですから、尺度を統一するために「絶対線種尺度」という尺度を使用します。
もう少し具体的に研究してみましょう。
目次に戻る←←←グローバル線種尺度とは線種尺度に「下駄を履かせる」機能
図面番号_01は、グローバル線種尺度を1000に設定してあります。
図面番号_02は、グローバル線種尺度は1で設定してあります。これまでの説明は、図面番号_02の設定でお話を進めました。
この違いが両者見え方の違いに表れたのです。
グローバル線種尺度についてみていきます。グローバル線種尺度は、線種尺度管理のダイアログボックスで設定します。

この機能は、「線種尺度に下駄を履かせる」機能になります。相対的な考え方が苦手な方(筆者も)にはとてもややこしい機能です。
グローバル線種尺度を1000とした場合、グローバル線種尺度1.0としたときの1000倍になります。
線種設定は1.0でもいままでの線種設定1000と同じになる、ということです。

絶対線種尺度を用いて数値化する
いままで1で見ていたものが下駄を履いて1000になる、と言われても混乱することでしょう。
グローバル線種尺度を知らないと、線種尺度だけで話をしても齟齬(そご)が出てしまうことがあるのです。
そこで、絶対線種尺度を定義したのです。
(絶対線種尺度)=(線種尺度)×(グローバル線種尺度)
たとえば、図面番号_02はグローバル線種尺度を1000で設定してあります。
ということは、線種尺度が1.0のとき、(絶対線種尺度)=1.0×1000.0=1000.0です。
要は、いままでグローバル線種尺度1.0で見ていたオブジェクトプロパティー管理の線種尺度1000.0と同じ見え方になります。
どちらも絶対線種尺度に換算すると1000になるからです。

図面番号_01の線種尺度の正体
図面番号_01は、絶対線種尺度を用いて表現すると、以下のようになります。
絶対線種尺度の換算表も示します。


図面番号_02の線種尺度の正体


絶対線種尺度が同じであれば、同じ見え方になる
図面番号_01における線種尺度1.0,1.5 ,2.0 ,5.0と、図面番号_02の1000,1500,2000,5000がそれぞれ同じ見え方になります。
図面番号_01は線種尺度に1000下駄を履かせているのです。

今回は図面番号_01,02とも同じ印刷尺度、ビューポート尺度で比較したため、「最終絶対線種尺度」は考慮(表示)していません。
目次に戻る←←←なぜグローバル線種尺度が存在するのか?
生意気言わせてもらうなら、なんでこんな機能つくったん??
という感じです。
わざわざユーザーの頭を混乱させようとしているとしか思えないとさえ感じます。
しかし、メリットがないわけでもなさそうです。どういう場合に活用できるか考えてみたいと思います。
いちいち尺度調整する手間を省くことができる
グローバル線種尺度は、線種管理上の線種全部に対して適用されます。

土木建築のように、図面の尺度が通常1/100や1/1000程度のものを扱う場合を考えてみると案外、グローバル線種尺度が存在する意味がわかります。
こういう図面では、点線を表すには、線種尺度をいちいち一本ずつ2000や20000に調整しなければなりません。
2~3本であればいいですが、数が多くなったり種類が多くなると大変になります。
そこで、最初から線種尺度を2000とか20000にできないか?と考えるのが自然の流れになります。
そこで生まれたのが「グローバル線種尺度」ではないかと思います。これを設定することで、最初から線種尺度1の状態で点線を表示できるのですから!
(これはあくまでぼくちゃんの想像妄想憶測です)
目次に戻る←←←まとめ
いままで、絶対線種尺度のお話はしましたが、詳細な意味合いは説明しておりませんでした。
要は、グローバル線種尺度というものがあるから、わざわざ「絶対線種尺度」など勝手にネーミングせざるを得なかったのです。
モヤモヤしていたことだろうと思います。今回の記事を読んで解消できたのではないでしょうか。
次回以降は、さらに厄介な機能を説明していきます。
お楽しみに!
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ボルトやねじ、精密機械などの製図と、公共土木工事のようなスケール感をAutoCADという一つのソフトで製図できるよう、利便性を考えて生まれた機能かもしれませんね。